episode 1『平和な日常』

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「ねぇ、もう一回買い出しに行かない?菜々子のためにも水とか買いに。」 「あ、あぁ別にいいぜ。」 俺達はマンションの近くのコンビニに再び向かった。外はとても夏とは思えないほど涼しく風が気持ちよかった。俺と歩美はコンビニに着くと二人で色々な物を買った。俺は明日の朝飯にパンなどを買った。 「カードはありますか?」 店員の女の子が聞いてきた。多分大学生あたりだろう。 「いえ、持ってないです。」 俺と歩美は買い物を終えると外に出た。歩いている途中ふとコンビニを見るとなにやらボロボロな布切れのようなものを着た男が店に入っていった。となりの歩美も一緒にその光景を見ていた。 「ねぇ、今のひとホームレスかな?」 たしかにホームレスなら納得だ。だが俺は確かに見た。あのホームレスの手には赤い血が付いてたのを。 それから1分後コンビニから悲鳴があがった。俺は何が起こったのか分からなかった。だが、確かに今のは悲鳴だった。すると、あのレジに立っていた女の子が出てきた。 「何があったんですか!?」 歩美が驚きながら聞いた。なぜならレジにたっていた女の子の制服は血で濡れていたからだ。それもベットリと。 「さっきいきなり変な男が入ってきて私のレジに並んでいた男のひとに噛みついたんです。」 「ちょ、ちょっとまって!それって達也の言ってたことと同じじゃない!」 確かにそうだ。だとするとここは危ないかもしれない。 「とりあえず逃げよう!」 その時だった。 バリン!! コンビニの窓が割れて中からコンビニの制服を着た男が出てきた。 「店長!」 レジの女の子は店長らしき男のもとへ走った。 「店長、起きてください!早く逃げましょう!」 女の子は店長を無理やりたたせようとした。 ピクッ 店長はいきなり首を起こした。そしてこのあと信じられない行動を見た。なんと店長がレジの女の子の腕に噛みついたのだ。
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