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俺は母さんを無視してテーブルに置かれている定期を手に入取った。
「あら、食べないの?」
笑みを浮かべ首を傾げる母さんを見るとやはり人じゃないと思えてくる、今更こんな料理……。
過去の出来事が映像のように頭の中で再生される。
『これでも食べていなさい』
当時12歳、一週間何も食べていない俺に缶を投げられる。
腹が減り、動かすのも精一杯な身体を動かして缶を手に取る、その缶には動物用エサと書かれていた。
本来人が食べる物ではないその缶は一週間水以外を胃に入れていない者にとって関係なかった、生きる為に残り少ない体力で精一杯缶を開けようと頑張る。
そんな俺を見下し、高らかに笑っている母さんがそこに居た。
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