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昨日、のぶと遊びに行ってきた。けいとは『デート』と言ってたけど、そんなんじゃない。それでも思い出すと口元が緩んでしまうような一日だった。
最後の神頼み、効いてくれたかな。
『大学に受かりますように、それと――』
でも、私は人よりも考えてしまう。考えすぎて気持ちにヒビが入って、何からも私を臆病にさせる。とにかく早く誰かに知らせたい。いま、自分の抱いている考えが正しいのかどうか知りたい。
着信ランプが光っている。
電話だ。知らない番号。
「もしもし?」
『やっほー』
「あ、玲か。どうしたの?」
唯一の女子の親友、と思っている玲からだった。
『あ、ってなによ。ちょっと充電切らしちゃってさー、いま駿の携帯からかけてるんだよね!』
玲はスクールカーストではかなり上位で、常に駿と一緒にいる。
「それで?」
『いまさ、カメダにいるんだけど、来れない? 聞きたくてさ、』
昨日のこと、と電話越しににやけた声が聞こえた。
「あー、いいよ。ちょうどいま塾で自習してたし」
『はーい! じゃあ待ってるよ!』
「ん。じゃまたね」
ちょっと面倒だけど、まあいっか。この間母親に買ってもらったばかりのモッズコートを羽織って、私はカメダに向かった。
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