すすむということ

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 国立受験も終わり、合格発表を待つだけの春休みを迎えた。卒業式は呆気なかった。よかったことは玲と気まずい感じが消えたこと。それとのぶがボタンをくれたこと。悪かったことは、けいとに会えなかったこと。のぶのボタンは第2じゃなかったこと。  みんな卒業旅行とか行くのだろうけれど、私は誘える相手が見つからなかった。だから大学が決まるまで家でのんびりと勉強から解放された日々を過ごしていた。  春休み5日目の昼間、合格通知が届いた。隣の県の私立大学だ。第一志望ではないけれど、それなりに嬉しかった。国立は落ちたけど、そんなに悲しくはなかった。それよりもなんの返事も来ないけいとがのほうが気になるくらいだ。  引っ越しやオリエンテーションで忙しい中、その日は急に決まった。3月31日、一生この日は忘れないと思う。  引っ越しも終わり、ガラケーはスマホに変えた。早速始めたSNSで入学前に新入生コンパがあることを知り、参加してみた。みんないい人そうでほっとしたり、途中ふたりの男女が抜けていったことで大盛り上がりしたり。本当にこんなことあるんだ、と私はふわふわ聞いていた。  久しぶりの人との集まりで頭がぼーっとするので、2次会に行くかどうか迷っているとスマホが震えた。  けいとだった。内容は、  「たすけてくれ」
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