すすむということ

3/6
前へ
/23ページ
次へ
 結局二次会には行かずまっすぐ家に帰った。ただし、ひとりではなく、けいと付きである。  「まだ開けてない段ボールあるけど、どうぞ」  いいながら昨日タグを切ったばかりの100円スリッパを投げる。  「悪いねえ、終電なくなっちゃって」  「女の子の家に来るとか非常識ですよー」  全く悪びれのないポーカーフェイスに冗談を投げると、彼は「へへっ」と笑った。お互い干渉せず、ちょうどいい距離感でいるのが腐れ縁の暗黙ルール。なんで終電逃したのか、私の家にしたのか。そりゃあ気になるけど聞かない。  ちなみに二人でいると、けいとはよく笑う。同性にかっこつけるタイプなのかな?と勝手に解釈している。だって、私といるからかなって思ったら意識してしまいそうだし。  「シャワー借りたい、あとタオルとジャージ!よろしくね!」  はいはい、と相づちをうちタオルを渡す。  「ジャージ、下しかないけどいい?高校の」  いいよー、と聞こえたのでジャージを探す。  「ところで下着は?」  と聞くと、「買ってきた!」とコンビニのふくろをカサカサしながらニヤッとこちらをみた。  「ちゃっかりしてる、な!」  ジャージを投げつけるとけいとはまた「へへっ」と笑った。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加