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楽しんでこいよ。そういう意味も込めて、ちゅんの髪をぐしゃぐしゃに撫で回した。
「ちょ、ちょっと!」
俺の手を拒むちゅんの手が触れる。その少しの温度差に、また濁った心が揺さぶられる。
「じゃあ、俺帰るわ」
「え、もう?」
鳥の巣みたいな髪を整えながら見上げるちゅん。ニヤッとして手を振ったけど、俺はもう一度ちゅんのほうに近付いた。
「どうしたの?」
不思議そうな声色のちゅん。
そのすぐそばにはあいつが置いていった空き缶が転がっていた。別にどうでもいい、はずなのに。それをちゅんの近くに置いておきたくなくて、
「なんでもねーよ」
そう言いながらあいつの空き缶を踏みつぶした。
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