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「失礼します」
ノックをして、職員室へ入る。
顧問の先生は、パッと見ホストのような外見をしている。
数個の外されたボタン。
そこから覗く鎖とやたらクッキリと浮き出た鎖骨が様になっている、初対面では確実に教師と思わないような服装だ。
けれど先生は中身は普通に真面目だ。
それでも主に服装に、これでいいのかと疑問が残るが、
俺以外の生徒会メンバーに合わせるとなると、
顧問もこういう人がピッタリだったのだと納得しておこう。
「ああ、今行こうと思ってた所なんだ、悪いな」
フッと辺りに薔薇っぽい香水でも撒き散らしたかのような笑みは、
きっとこの学園の一部の……女子力高めの生徒にはたまらない物だろう。
「いえ、これが俺の仕事ですから」
書類整理と配布・提出にお茶くみ。
時々は会議中に意見も出してみたり。
それが俺の、生徒会での主な仕事だ。
今日は、この書類に先生の確認後に判子を貰えば仕事完了。
なめらかに文字列を眺める先生の視線を見るに、きっと問題無いだろう。
「じゃあ俺が持っていくから、他に仕事無いんだったら帰っていいぞ」
今日はあんまりやる事無かったはずだよな、と。
流石生徒会顧問。
ちゃんと仕事量は把握しているようだ。
忙しい時には気遣ってくれるし、差し入れもくれる。
……本当、どうして外見だけはこうなんだろう。時々不思議に思う。
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