case3.庶務

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「家の匂いとかあるじゃないですか」 ……まあ、確かに。 友達の家に行くと、自分の家とは違う匂いを感じるとは思う。 けれど、そんな風に生徒会室も匂ってるか? 香水っぽさとかは特に感じない気がするけれど……。 自由な腕を持ち上げ、肘のあたりの匂いを嗅いでみる。 ……よくは解らないけど、じっくり嗅げば、 確かにフローラルな匂いがしなくもないような……? でも自分の使っている石鹸類や整髪料とか、 布用消臭剤の匂いが混じった結果の匂いかもしれない。 「……する?」 「します!」 きっぱりと言い切られてしまう。 「そんな気にする程のものかな?」 うん、やっぱりよく解らない。 もう1度嗅いでみても本当に微かなものだから、そう尋ねる。 すると俺の体から顔を離し、上目使いでジトッと睨み付け、こう言った。 「するんです! 俺以外の男の匂いをさせないでください!」 真剣そのものな表情でのそのセリフとこの状況に、 つい俺は………… 噴出した。
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