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「ちょっ、俺は真剣なんですよっ?!」
それは知ってる。
けれど真剣に、このかすかな匂いを気にして
対処として自分の匂いをつけるために頭をこすり付けてくる。
その思考や行動、表情が俺を笑わせているのだから、彼の訴える姿は逆効果だ。
「もー、真面目に言ってるんです!」
「……っ、悪い。ごっめんなぁ?」
だめだ、本当に真剣にむくれてくる彼が面白くて仕方ない。
必死に笑いをこらえようと頑張っていると、灰谷の口がへの字に曲がっていく。
そこでまた波が来た。
「…………先輩……」
「ごめんって!」
なんだろう、この、
真面目でしっかりしてるかと思いきや意外に面白い生き物は。
他の人にはあまり見せない、
きっと本当は一目惚れしたんだと思う、情けない姿や妙な思考。
そこが俺の好きな所なのかもしれない。
「かっわいいなぁ」
つい笑いながらそう漏らす。
と、灰谷の動きが止まった。
真っ直ぐに俺を見据える姿に、
あ、ちょっとこれは本気で怒ってるかも。
珍しく、マズイかもと感じた。
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