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彼と過ごし始めた時から、少し気になる事があった。
彼は別段、異様な程に整った容姿でも、
飛びぬけた運動神経も持ち合わせていなく、目立った所など無いはずなのに。
なのに何故だか、皆が彼の方を見る。
10人中10人が、では無い。
半分位であったが、何もしていないにも関わらず振り向かれる数としては、かなり多いと思う。
そんな状況で俺が首を傾げると、彼は困った顔で笑っていた。
何か理由があるようだが俺にはさっぱり解らなかった。
そうして、馴染んでいるんだか浮いているんだか判らない彼に、とある人物が接触を図った。
……この学園で1番と言っていいほど注目を集める、生徒会長だ。
会長が彼に話しかけると、今度こそ全ての人間の注目が集まる。
そして繰り広げられたのは、
「俺と付き合え」
「……お断りします」
みたいな、会長が一方的に、命令口調で好意を伝えるというよくわからない光景だった。
辺りからは甲高い悲鳴が大量に聞こえてきて、
その中で拾えた音は、2人の会話と、
あとは割と近くから聞こえてきた、これまたよく解らない
「あれが王道ってヤツか?」
「そうです!」
とかいう会話だった。
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