case4.書記

4/18
前へ
/57ページ
次へ
彼と過ごし始めた時から、少し気になる事があった。 彼は別段、異様な程に整った容姿でも、 飛びぬけた運動神経も持ち合わせていなく、目立った所など無いはずなのに。 なのに何故だか、皆が彼の方を見る。 10人中10人が、では無い。 半分位であったが、何もしていないにも関わらず振り向かれる数としては、かなり多いと思う。 そんな状況で俺が首を傾げると、彼は困った顔で笑っていた。 何か理由があるようだが俺にはさっぱり解らなかった。 そうして、馴染んでいるんだか浮いているんだか判らない彼に、とある人物が接触を図った。 ……この学園で1番と言っていいほど注目を集める、生徒会長だ。 会長が彼に話しかけると、今度こそ全ての人間の注目が集まる。 そして繰り広げられたのは、 「俺と付き合え」 「……お断りします」 みたいな、会長が一方的に、命令口調で好意を伝えるというよくわからない光景だった。 辺りからは甲高い悲鳴が大量に聞こえてきて、 その中で拾えた音は、2人の会話と、 あとは割と近くから聞こえてきた、これまたよく解らない 「あれが王道ってヤツか?」 「そうです!」 とかいう会話だった。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

763人が本棚に入れています
本棚に追加