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「はいはーい、風紀ですよー」
「お前ら散れ!それか黙れ!」
そう言いながらやってきた、謎の会話をしていた――風紀委員だったらしい2人。
ヒートアップして掴みかかってきそうな周りから俺たちを引き離すと、
いつの間にか現れていた数人の風紀委員らしき人たちに騒ぎ+会長を任せ、どこかへと誘導する。
「ちょっと風紀委員室で話聞かせてくださいね」
穏やかな笑みを浮かべた方の委員がそう言った。
もう1人は背が高く、興味深そうに拓斗を見下ろしていた。
「いや、さっぱり解んねえな」
何でアイツらが惚れるんだか。と、
観察の結果、そんな風に首を傾げる。
それから携帯を取り出し、どこかへ連絡を取っていた。
そうこうしている内に風紀委員室に到着した。
この辺りはとても静かで、さっきまでの喧騒と同じ学校だとは信じられない。
「おい、連れてきたぞ」
「ああ、お疲れ」
部屋の中で待っていた人は……あ、この人は知っている。風紀委員長だ。
委員長は俺たちに座るよう勧め、
彼の向かい側のソファーへ座ると、さっきの背の高い委員は、委員長の隣へと腰かけた。
2人の距離は妙に近い。
そして軽く自己紹介。
背の高い人は副委員長だった。
もう1人の委員は川添(かわぞえ)と言うらしい。
彼が淹れてくれた紅茶を飲んで一息つくと、さて本題だが、と委員長が切り出した。
「生徒会の奴らがことごとく落とされてるらしいが、お前が何かしてる訳ではないんだよな?」
……どうやら拓斗に惚れているのは会長だけではなかったらしい。
入ったばかりの、1年の書記を除いて、
会長・副会長・会計
さらには生徒会顧問の4人が彼を好いているそうだ。
生徒会内だけでもそれだけ好かれているらしい。
いつも一緒にいるのに、出会った事すら知らなかった。
と、俺は密かに驚いたのだが、それも無理はない。
どうやら一目惚れをされたらしいので。
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