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「俺は何もしていないんですが、でも心当たりはあって……」
信じてもらえるか解らないですけど、と言い辛そうに拓斗が話す。
遠回りな言い方で、俺にはよく解らない説明を
不本意ながら聞き流す状態になっていると、ふと気になる事があった。
副委員長や川添くん、それと数人は、ただ不思議そうにしているだけなのに
委員長や、他の委員は何故だか眉を顰めて拓斗を見ていた。
「ええっと、つまり……なんだ?」
副委員長が、解ったような解らないような感じに川添君にふる。
「つまり君は、対タチ用のフェロモン的なものを持っているって事ですね?!」
待っていましたとばかりのハイテンションで川添君は言った。
そして拓斗が複雑そうに頷く。
すると、周りにいた他の委員たちは何かを納得したように眉間の皺がとれた。
……何なんだろう、この状況。
いや、理解できたんだけど、したくない。
「なるほど、だから充洋(みつひろ)達が妙な顔してたのか」
副委員長が充洋と――委員長の名前を出した。
ここで納得してしまうと、色々と認めなければならない事がある。
それでも副委員長は認めたようなので、俺も見習ってみるか。
「それで王道だから川添は喜んでるのか?」
「いや、王道じゃないですけど、これはこれで!」
そしてこの2人の会話は、やっぱりよく解らない。
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