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「それってあれか?ここ最近起こってる通り魔のことか?」
「ああ」
「あんなもんガセに決まってんだろ!純は嘘も真面目にとらえちゃうからなぁ」
笑いながら本棚を見て回る大輝。火のないところに煙はたたないと言うんだがなぁ…。
時は過ぎ6時・・・
「そろそろどっちか帰ってる頃だろうし帰るわ」
「おう、さっきも言ったけど気を付けろよ」
「俺より遅くに帰る純の方が危ないんじゃないか?」
「それもそうだな。またな」
「おう、また明日」
手を振って図書室を出る大輝の姿を見送り、仕事を続ける。仕事と言っても人が全く来ないこの図書室ではそんなにすることはないのだが。
8時になったので帰ることにする。鍵を締め、職員室に鍵を返す。
外は真っ暗になっていた。今は11月の中頃だ。冷たい風が吹き抜け、俺の体を冷たくする。
「おお、寒い寒い。夏の暑さに比べたらましだが」
独り言がでる。誰もいなくても口を開いてしまうのはどうにかしたいと思いながら道を進む。
空は黒く、星の光が見えるほど澄んでいない。見えるのは満月だけだ。親指と人差し指で作れそうなぐらい小さな月を見上げながら進む。
十分ほど歩くと橋が見えてきた。ここを渡ればもうすぐ家に帰る。橋を歩き、半ばぐらいの所で
「ねぇ」
声をかけられた。
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