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「姉ちゃん、また携帯いじってるの?」
あたしの5つ上のお姉ちゃんは、美人だ。色白で目がぱっちりしてて、鼻筋が通ってて、性格もおっとりしてて優しくて気さくで頭もいい。
ただ、完壁な人間なんてどこにもいないもので、容姿になんの欠点もないかと言われればそうでもなかった。
「えー、休みの日ぐらい良いじゃんかー。」
「って言って毎日何時間も触ってるよ!まだ高校生なのにそんな体でいいの?」
「母さんと同じこと言わないでよ、良いのよ成長期だから。」
姉ちゃんはデブになった。
むっちむちの豊満ボディ。3週間前までスレンダーで鳩胸だったくせに今じゃスイカを2つと、おばけカボチャを1つ、
それぞれ胸と腹にくっつけてるみたいだ。たぶん乗ったら気持ちいい。
スウェットは本来ゆったりしてるはずなんだけど、ぱっつんぱっつんに張りつめて、姉ちゃんの白い肌をちらちらと隠せずにいる。たぷんたぷんの足はおそらく以前の姉ちゃんのウエストよりも大きい。丸い背中が邪魔で、テレビが見えないのには困ったものだが、姉ちゃんの綺麗な顔にふわっとついた脂肪は、女性らしさを引き立て妙に色っぽい。姉ちゃんが不細工じゃなくてよかったと心から思った。
急にこんなに太っても、誰にも何も悪く言われないのは姉ちゃんの人望の見せる技だろうか。学校じゃあ、包容力が体に出てグッドだとか何とか言われてるらしい。
「姉ちゃん…、成長期は結構だけどさ…、制服とかきつくないの?糖尿とかこじらせないでよね……。」
「何いってんの、姉ちゃんは無敵だよ!」
死にゃあしないよ、と、にかっと笑う。
「だけど、歩きにくいからちょっとは運動しようかな…。」
「それがいいよ」
あたしの気が、済んだ。
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