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「ユキ、君、やってくれたな。」
次の週末、カトリのところへ行くと、彼はにやにやしていた。
「ん?なんのこと?」
あたしはすっとボケてみせた。
「私が昨日公園を散歩してたら、君の姉貴がユサユサ走っているのが見えたよ。私の記憶じゃ、彼女はあんな巨体じゃあなかったはずだ。おかげで少しよく見ないと解らなかった。あれは君がなにかやらかしたんだろう。」
「その通りだよ。言わずもがなカトリのリモコンを使ったんだ!あんまり姉ちゃんがだらだらするもんだから、“姉ちゃんが3時間連続でだらける”ごとに、“姉ちゃんの脂肪細胞が1kg増える”ようにしたんだ!」
「それで3週間で倍の体格にねえ……」
「40kg近くは増えたと思うよ!でもあたしの気はもう済んだんだ!」
だから姉ちゃんはもう太らないはずさ、これに懲りてだらだら癖を止めてくれたらあたしの勝ちだ、と続けると、
カトリがにんまりした。
「ユキ、君、私の気は済んでいないんだ。」
「え?」
「ユキ、私はね、人が肥えていくのを見ると興奮するんだ、私はさっき、やらかしてくれたね、ではなく、やってくれたね、と言ったろう。本当に興奮したさ、君の姉貴が通学しているのを毎日見かける度に、彼女がいかに日々膨れているか、しっかりわかったからね。」
あたしはカトリが何の話をしているのか読めなかった
「本当によくやってくれた、でかしたよユキ…だけど君の気が済んだというのは本当に残念だ―」
カトリがあたしにリモコンを向けた。
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