君という女性。

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「……あたしね、不謹慎だけど勇助に会えてよかったと思ったの」 俺の方に向き直り、心さんは俺を真っすぐ見た。 「何でまた……」 何で俺何かと……。 心を開かない無愛想な男だったのに。 「そんなのわかんないわよ。 ただ単に仲良くなりたいと思ったのよ」 心さんは一瞬空を見て俺に視線を戻した。 「俺と?」 とっつきにくい俺だったのにな。 それがきっと心さんの優しさなんだろう。 「あたし、人付き合い下手でね。 友達いなかったから余計にそう思ったのかも」 類は友を呼ぶってヤツか。 でも心さんのお陰で今の俺がいるんだ。 心さんがいなかったら俺は……生きていたかわからない。 それくらいあの時は絶望的だった。 「ま、結果オーライ。 だろ?」 今こうやって笑いあって話ができる。 それだけでも幸せだ。 「ふふ。 そうね」 幸せそうな俺の顔を見て心さんは微笑む。 「いつかまたこの木の下でここと再会したいな」 俺は梅の木に抱き着く。 この木は今も昔も変わらない……。 俺達が離れ離れになっても変わる事はないだろう……。 「あたしもだよ。 勇助……」 俺の背中にかぶさるように心さんは抱き着いてきた。 俺は心さんの体温と鼓動、息遣いや匂いで心地好くなっていた。 いつかまたここで会いたい。 そしてその時は……。 貴女に気持ちを伝えたい……。
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