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ここは何処だ?
何だか見覚えがある。
懐かしいような、胸が締め付けられるような……。
俺の目の前に現れたこのお城みたいな建物は一体なんだ?
「さぁ、今日からここが君のお家だよ」
俺の頭上から男の声がした。
手を握る感触にハッとし、上を見上げる。
「…………」
見えない。
この男の顔がハッキリと見えない。
モヤが掛かっている。
何故だ。
何故見えない。
「こんにちわ」
男の顔を見上げている俺に女の子が声を掛けてきた。
肩まで長い髪を赤いリボンで束ねたおしゃまな子だ。
綺麗な瞳をしている。
まるで汚れを知らない感じだ。
でも彼女とは何処かで会ったような……懐かしいような、何か不思議な気分だ。
「……こんにちわ」
恐る恐る俺は挨拶を返す。
自慢ではないが俺は人見知りな性格……だったような気がする。
「初めまして。
あたし、心。
浅野 心(あさの こころ)。
君は?」
心と名乗った少女は俺に笑いかけてくれた。
その笑顔はまるで天使のようだ、
俺の名前……?
俺の名前は……。
「俺、佐久間 勇助(さくま ゆうすけ)」
思い出した。
俺は『佐久間 勇助』だ。
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