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医者から許可をもらってきた心さんが病室へと帰ってきた。
「さっきの話だけどさ……」
「いいじゃん。
焦って思い出さなくてもさ。
思い出は逃げていかないわ」
俺がさっきの話題に戻そうとすると、心さんは俺の言葉を割いて止めた。
「……そうだな」
あまり話題にしてほしくないみたいだから、俺は素直に相槌を打った。
今俺がどうのこうの言って、心さんを怒らせ見捨てられたら記憶もないし身も蓋もなくなる。
「勇助に見せたいものあるの」
心さんに手伝ってもらいながら俺は車椅子へと移った。
見せたいもの……?
「ん?」
俺は心さんの顔を見て首を傾げた。
「少し目を閉じててね」
悪戯っぽく笑うと心さんは俺の膝に膝かけをかけてくれた。
俺は言われるがままに目を閉じた。
目を閉じると車椅子が動き病室の外に出たのがわかった。
心さんは俺を何処に連れて行こうとしているのだろうか。
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