一、

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目を覚ますといつもの天井があった。 またいつもの一日が始まる。 朝の四時、俺は決まってこの時間に起きる。 顔を洗って服を着替えて、部屋に置いてある愛用の剣を腰に差す。 まだみんな眠っているので音をたてないようそっと部屋を出た。 俺の名前はフィズ・ランドレット、多分16歳。 ここ政治と文化の中心ジルド国の、王族を守るために結成された「黒騎士団」の寮の前に捨てられて16年、騎士として育てられた。 この名前は当時の団長がつけてくれたものだ。 「よっと。」 誰もいないのを確認してから塀を乗り越える。 ここは黒騎士団が所有している森で、魔物がよくでる。 ほんとは団長の許可がいるんだが、うちの団長は朝に弱いからバレないだろ。 なんて思いはじめてもう8年。毎朝ここで一人修行してきた。 俺の目標はただ一つ、強くなること。 そう、俺に名前をつけてくれた。ツヴァイ・ランドレットを超えるため。
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