いっしょにいたくて

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常人には、この部屋に、一つ部屋に、引きこもりつづけること、自体、ありえないことだろうし、多分、ありえないことなんだ。 わかってるのに私にとっては、普通で、この部屋が私の居場所、唯一の理解者がお兄ちゃんだった。 その、お兄ちゃんがどこかに、知らない女の人の元に行ってしまうかもしれない、きっかけは、隣り合わせの部屋から聞こえた、お兄ちゃんの楽しそうな、桃色に彩られた声音からの邪推だ、こんな私と違って、お兄ちゃんの交遊関係は、把握はしてないけれど、きっと広いに違いない、お人好しだから。 どうして、こんな気持ちになるかわからないまま、ベッドに潜り込んだ、眠ろうしたけれど、眠れない。 お兄ちゃんを、好きか? 問われたら、家族として好きと言える、嫌う理由がないから、ほかの好きなら? 恋愛では? すぐに、ブンブンと頭を振り、ありえないと否定した、家族として好きだ、兄妹愛なんで家族愛の延長上みたいなものだ。 血の繋がった兄妹なんだけれど、お兄ちゃんに彼女が出来たかも? と、疑問に胸が締め付けられてる、嫌だと思って、一人で悶々してる。 答えのない迷路に入り込んだみたいに、思考がぐるぐると回り続けて、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。 目の前にある扉が遠い、手を伸ばす先には、一本のカッターが転がってる。
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