いっしょにいたくて

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「痛ッ……」 思わず声音がもれても構わずカッターの刃を、皮膚に当てて横一線に薙いだ。後を引くように、パックリと傷口から、血が出てくる、数回、同じ行為を、繰り返す。 「うぅ……うぅ……」 涙が落ちて行き、カーペットを濡らす、切りたくないのに、切りたくなる、頭の中のぐちゃぐちゃとした部分は真っ白になり、余韻として涙が落ちていく。 「わからない……」 お兄ちゃんもいつか、誰かを好きになって付き合う、恋人とよべる相手をみつけるだろう。 その、『いつか』が来たかもしれないんだ。 妹の私がとやかく口出しする権利はない。 「けど、嫌なんだ」 権利なんてないけれど、嫌なことは、嫌で、頭の中にぐちゃぐちゃした感情が詰まってく、カッターを握った、切ろう、切ったらすっきりするから、真っ白になるから、忘れられるんだ。 「なにしてんだよ、お前」
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