第二章

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あまりこの状況への混乱はないようだ。 「しかし、どういう事なんだろうなこれは。『一歩踏み出した先は、見たこともないような場所でした』そんなことがあり得るのか?」 当然の疑問だろう。 考えてみれば、考えてみるほどにあり得ない現象だ。 「まともに考えてみるならーーーーー」 そういって、改めて、あたりをを見渡してみる。 一面に広がるのは、岩と低木。 ちょうど、スモールサイズのグレートウォールを想像してみれば分かりやすいだろう。 二人がいる地点は、山間の狭間に値するらしく、ここから先の点は見えない。 「ーーーーーそうね、睡眠薬なんぞで眠らされてたってのはどうかしら」 自分でも、この話はおそらくあり得ないだろうと確信していた。 第一、眠らされていたというならば、自分たちを運んできた何者かはどこに行ったというのだ。 「それこそあり得ない話だろ。どんな姿勢で運ばれて来たってんだよ、俺たちは」 案の定省吾に反論される。自分でもおかしい話だとは分かっていたとはいえ、こうもあっさりといった感じで論破されると、何となくいらつく。 「ーーーーじゃ、正解はなんだと思うの?」 我ながら、意地の悪い聞き方だと思う。  正解なんて分かりっこないのに。 「・・・・・・ん、そうだな。素直に、ここは元居たところとは別世界だってのはどうだ」 「ーーー呆れた。まともな意見なんて期待してなかったけど、これはいくら何でも予想の斜め上を行き過ぎよ」 その表情は、呆れたというのを通りこして、軽蔑のようなモノを浮かべてさえいた。
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