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第二節――――那波 京
「ーーー京!」
何秒間の間であったのだろうか。
意識が確実に飛んでいた。
握るボールは手放してなどいない。
それだけを確認すると、ゆっくりと周りを見渡す。
灼熱の大地。
十一人の仲間たちは、とぎれずそこに立ち続けている。
対する敵も十一人。
戦場に立っているのは四人だ。
ーーーー九回裏、できすぎたような展開。
「締まっていこう!」
もはやこの言葉も、何千回と吐き捨てたことか。
帽子から流れ落ちる汗も相まって、まるで呪いのコトバのようだ。
だから、この一球。
この一球を踏ん張り続ける。
「ーーーーーーーっ!」
投げつける。
狙うは内角低め、安全マージンを十分にとるが故の行動だった。
そんな
おれの
たまは
まっすぐ
銀色のバットへとーーーーーー!
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