第一章

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第二節――――那波 京 「ーーー京!」 何秒間の間であったのだろうか。 意識が確実に飛んでいた。 握るボールは手放してなどいない。 それだけを確認すると、ゆっくりと周りを見渡す。 灼熱の大地。 十一人の仲間たちは、とぎれずそこに立ち続けている。 対する敵も十一人。 戦場に立っているのは四人だ。 ーーーー九回裏、できすぎたような展開。 「締まっていこう!」 もはやこの言葉も、何千回と吐き捨てたことか。 帽子から流れ落ちる汗も相まって、まるで呪いのコトバのようだ。 だから、この一球。 この一球を踏ん張り続ける。 「ーーーーーーーっ!」 投げつける。 狙うは内角低め、安全マージンを十分にとるが故の行動だった。  そんな       おれの たまは          まっすぐ  銀色のバットへとーーーーーー!
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