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第二章
「・・・・・・?」
もっさりとした、苔の生えた地面を踏み込む感触。
鏡谷省吾は、驚きよりも違和感という感触をまず覚えた。
一瞬の立ちくらみ、踏み出した足が覚えた、空を切るような錯覚。
刹那の後には、見慣れた風景は消失していた。
「・・・・・なに、どこよここ」
隣から響いてきた声をの方を振り向く省吾。
突如として、訳のわからないトコロへと飛ばされてきたことよりも、よっぽどの衝撃を受けたらしい。
「ーーーーー寒く、無いのか?」
まるで見当違いのことを言い放つ。
少女が着ているのは赤いカクテルドレス。華やかでありながらシックなその様相は、彼女に非常に似合っているが、肩口から出た肩は確かに寒々しい。
しかし、今現在の状況に置いては、その心配はよけいなお世話と言わざるを得ないだろう。
「ええ、確かに少し肌寒いかもしれないわね。心配してくださってどうもありがとうーーーーーで?そんなあなたは何方なのかしら」
少しいらついた口調で、少女ーーー近衛由季は問いただす。
どうやら、省吾がこの現象について何かを知っているモノと考えたらしい。
「鏡谷省吾、日本人で17歳。とりあえず、今なにが起こってんのかわかる?」
「私は、近衛由季ーーーそう、あなたにもなにが起こってるのか分かって無いのね」
当てが外れたーーー、そう呟き爪をかむ由季。
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