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「無理だって、そんな走りじゃ」
思わず俺はそう言っていた。
自分が言ったことの重大さに気づいたときには、もう手遅れだった。
こんなに一生懸命に走っている人を馬鹿にするなんて…。そう思っても、もう遅かった。
彼女は紅潮した頬をふくらませ、
失礼ね!と言った。
「ご、ごめん…」
俺はただ謝るしかなかった。彼女を怒らせてしまったことを、なぜか物凄く後悔した。
もう二度と、口はきいてもらえないだろうな…。ふとそんなことを思っていたとき、いきなり自転車を掴まれた。
「悪いって思ってるなら、乗せてって」
「…え?」
戸惑う俺をよそに、彼女は自転車の後ろに跨った。
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