生者の聖式典

9/21
前へ
/693ページ
次へ
けれど……今夜は、ワルプルギスの夜。 ルイが把握していない力を、シュトラールが発動したとしても何ら不思議はなかった。 そして、ダンケルハイトも。 気のせいか、近年ダンケルハイトやシュトラールは、力を付け始めているように思えた。 それも、限られた存在だけ。 ダンケルハイトならばルードヴィッヒ。シュトラールなら……プラチナではなくセルベス。 何故かは知らないが、酷く嫌な予感がした。 「おい!いつまで無視を決め込んでいるつもりだ!?」 「……ねぇ」 扉を殴り付けながら掠れた声を絞り出すプラチナに、ルイは漸く反応らしい反応を示した。 「どれだけ騒いでも、無駄……。貴方達を……どうするかは、機関が……決める」 「ふざけるな!私にはやらなければならない事がある!!化け物共の要求など、私が飲むと思っているのか!?」 ちゃんちゃら可笑しいと言わんばかりに嘲、蔑むプラチナに、ルイは何となくだが思ったままを口にした。 「貴方達に、利用価値は……ない。機関は、皇族だろうと……シュトラールの血なんか、必要としないはず……だから」 「っ……無礼者が!利用などされて堪るものか!!用がないと言うのであれば、さっさとここから出せ!」 ルイの淡々とした見解に、彼女は更に激昂したようだった。 「それは、無理。機関が、決める事……。そして、貴方達は……セレスが、シビルだと知ってしまった。セレスを狙うなら……許さない」 「黙れ!木偶人形ごときが……!!ダンケルハイトを根絶やしにし、エーネゲルスの頂点に立つのはシュトラールだ!それこそが、兄上の悲願!!」
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加