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「おいもうその辺にしとけよ」
チームメイトが駆け寄り榊をなだめる。
俺も榊を説得する
こんなたくさんの人が見てるなかで、この態度はマズイと思ったからだ
榊「おい離せお前ら!!コイツ全然ストライクゾーンわかってねぇよ」
榊が声をさらに荒げる
審判に無意味に抗議する榊を見る相手の目が冷やかしと嘲笑を帯びて見えた
榊は相手ベンチを指差して続けた
榊「てめぇらもちまちまセコい手ぇ使って俺を打ったような気になってんじゃねぇぞ。てめぇらなんか俺のこれっぽっちの才能しかねぇくせによぉ」
ベンチがシンと静まった
俺「榊、やめとけ」
榊「うるせー!!翔誠は2塁から見てただろ?さっきの球俺のボールと同じコースだろ?」
榊が俺に聞き出す
確かに俺は守備のときはショートからしっかり見ていた。今もランナーから見ていた。そしてどちらのボールも全く同じコースに決まっていた
榊は俺の返答を待っていた
俺「榊…。半個分内側だったぞ」
俺は嘘をついた
いま俺がホントのことを言えば、榊は退かずに審判に食い下がるだろう。
嘘をつけば榊は納得するんじゃないか?
そんな正義感のような考えが口を動かした
榊がガタッと脱力する
榊「んだよ。やってらんねーや…」
グラウンドにしゃがみ、ぼそっと呟いた。
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