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自分の姿を確認しないことには、どうしようもないので、内心逃げ出したい衝動を押さえ込んで、湖の水面に映る自分を覗き込んだ。
「…………え、誰?」
水面に映っていたのは、私、如月心葉の面影を残してはいるが、まるで別人に見えた。
獣の耳に、つり上がった切れ長の縦に瞳孔の開いた金色の瞳。口から覗く八重歯は鋭く尖っている。
言わずもがな、やはり尻尾も生えている。
耳と尻尾に関してはもう突っ込まない。でもなんで顔が変わってんの!? そもそも私、こんなにつり目じゃないし……。
そう思いつつ、水面に映った顔を眺めていると、あることに気がついた。
目以外は、ほぼそのまま見慣れた自分の顔だったのだ。
「顔の一部が違うだけで、こんなにも違って見えるのか……!」
不覚にも感動してしまった自分はアホだと思う。
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