66人が本棚に入れています
本棚に追加
ほどなく、森を抜けることができた。
可能なら戦闘して経験値を稼いでおきたかったが・・・子供を危険にさらすよりマシだと諦めた。
森から先は平原となっていた。そう遠くない位置には山が見える。
そして、道があった。
何度も歩く内に自然と出来たのだろう。整備された様子はなくデコボコだ。
「よし、行こうか」
「・・・」
俺はようやく人里に来れた事がうれしかったので、早く村に行きたいと思っていたのだ。
しかし、モロンは山を見つめたまま動こうとしない。
「・・・どうした?」
「変なんだよ・・・」
俺はモロンの横に並び、同じように山を見つめてみた。
辺りは暗くなっており、ふもとの方はよく見えない。
「この時間にはとっくに灯りがついてるはずなのに・・・」
よく目を凝らすと、正面に見える山のふもとに何かの影が見える。
「・・・急ごう」
「でも・・・」
モロンはかすかに震えていた。やはり昔に何かあったのだろう。
「じゃ、村の手前で隠れてろ」
俺は装備もできない剣を引きずりながら、村に向かって歩き出した。
「にっ、兄さん!」
「止めるなよ・・・正直怖いから」
村までは約200メートル程、急げばすぐに着けるはず。
最初のコメントを投稿しよう!