8~昌也side~

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それからは呼び出し食らわないようにできる限り一緒に行動した。 でも 数週間たって コマ作りが始まって。 どうしても千恵が一人になってしまうときが来る。 『うぁーこの移動半端ねぇ!』 『昌也もうダウン?はやっ』 『そうだな。千恵ちゃんは余裕なのに』 『ぅえ!?私余裕じゃないですよー あっでも昌也には負けないです』 『はぁ!?俺だって千恵に負けねーから!』 あの時から大分距離は縮まって。 今では普通に軽口をたたく仲。 『ハイハイ。なんかもう昌也負けてんね』 『だから負けてないっすよ!孝太先輩!』 そんな俺の言葉は無視されて。 『千恵ちゃん。悪いんだけどスーザ一人で運べる?』 『?はい。大丈夫です』 『悪いねー男子は積み降ろしあるから、楽器上に運べないんだ』 今はバスのなか。 さっきまで市の体育館でコマ作りしてた。 『余裕です♪任せてください』 そういって笑うけれど。 (コイツぜってー疲れてるだろ) 10時間ぶっ続けでコマ作り しかもその間ずっとスーザ担いでんだから。 男の俺でキツいのに、女のコイツが辛くないわけない。 なのにそんな様子を微塵も見せない。
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