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『水流 秀輝』(ミリュ シュウキ)
私は大手電気メーカー会長の1人息子として生まれました。生活には、特に不自由なく暮らしてます。
家はロサンゼルスから少し離れた郊外にあり
庭には母が趣味で育てているバラ園があります。
週に1回庭師が2、3人来て、バラを含む庭全体の手入れをします。
父は、この電気メーカーを25歳の若さで立ち上げ、今や会社は海外のあちこちに支店ができる程の大財閥に成りました。
母も、鞄のブランドを経営しておりしょっちゅう世界を飛び回って居る。
そんな訳で、私は子供の頃から誕生日や特別な行事がある時しか両親会った事がない。
会ったとしても、終わるとすぐ秘書達と一緒に飛び立ちって行くし
クリスマスだとて、ありがちな固定文が書いてる手紙の付いたプレゼントが届くだけの事だって珍しくない。
『ど~せ、明日もこんなもんだろっ』
子供の頃、何度吐いたか分からないセリフ。
『そんな事、ございませんよ。明日はきっと旦那様達と素敵なイブになります』
私の身の回りの世話をしていた使用人達が言った言葉。
最初は、皆こんな事を言って居たが次第に何も言わなくなった。
私は、この家が嫌い
私は、この仕事が嫌い。もっとも、他人に近い肉親であり
もっとも、自分に近い他人
でも、世の中とは残念な事にこんな私でも20歳の頃には父の経営の一部分を担って居る。
ある日
私がいつもの様に、使用人の運転する車に乗って書類に目を通していた時の事。
いつもない渋滞に小言を漏らしイライラとオフィスへの到着を待った。
すると突然反対側のドアが開き中年くらいの男が入って来て、私は刺されました。
当然、辺りは騒がしくなり初め
……死ぬのかな?
私は何の為に仕事してんだろ。
薄れていく意識の中、それだけが不意に思った。
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