春川 桜

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正直、僕は驚いていた。まさか本当にこの子から声を掛けられることになるとは思っていなかった。 やはり校庭で僕を見ていたのは、勘違いじゃなかったらしい。 名前も覚えてくれていたのも、僕としてはかなり嬉しかった。 「初めまして。私は春川桜と言います。あの・・・・・・覚えていらっしゃいますか」 男子と話すことに慣れていないのか、単に人見知りなのかは分からないが、かなりよそよそしい感じだ。 緊張しているのだろうな。確かに初対面の異性にいきなり話しかけるのは勇気がいるもんだ。 ここは僕がフレンドリーに接していくのが正解だろう。 「うん。もちろん覚えてるよ。同じクラスになった、春川さんだよね。確か趣味が、財宝を集めることだったよね」 自己紹介の時に彼女が話した内容を思いだし、ちゃんと聞いてましたアピールをしてみた。 「いえ、財宝を集めることではなくて裁縫をすることなんですが・・・・・・」 間違えてしまった。アピール失敗
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