《《未定》》

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『今ね。3月なんだ。まだ雪が残っているけど。もうすぐ春の3月10日。目が覚めたのは3月8日。ここに運ばれてきたのは、8月11日だから、ハルちゃんは7ヶ月眠っていたことになるんだ。』 視線を天井に向ける、夏にしては布団やパジャマの素材が厚いと思っていたから、驚くというよりは納得だ。では、私の誕生日は9月だから、眠っているうちに18才になっていたということか。 まただ。 生きている。と実感してしまった。 知らないうちに呼吸が早くなっていたらしく、『大丈夫?』と先生に聞かれ、無言で頷く。 でね、と次を続けてもいいかというように私の顔色を伺う先生に、ついに自殺の理由を聞かれるのかと、どきどきした。イジメを受けたわけでもなければ、虐待されたわけでも無い。誰かを納得させられる自殺の動機が私には無かった。
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