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あれから、またねむってしまっていたらしい。目を覚ますと外は明るく、朝になっていた。
それから慌ただしく、いくつもの検査を受け、落ち着いたのは17時を過ぎる頃だった。
やることがなくなると、頭に浮かんでくるのは、あの、車の前での光景。
自ら命を手放した瞬間。
しかし、私は今日、『山川 ハル さん』と自分の名前を何度も医者や看護師に呼ばれることで、やはり生きているんだと認めるしかない状況に陥ってしまった。
私は、まだ、生きている。
もう二度と開ける予定のなかったまぶたは開き、私の目は病室の白い天井をひたすらうつしている。
頭がどうにかなりそうだ。
皮肉にも、考えるのが疲れたと言うのが自殺の動機の一つであるというのに、今現在、自殺、まだ生きているから自殺未遂か。をしたことが、考える機会を増やすことになってしまっている。
『はぁ』
ため息。今日初めて発するのがため息かとクスッと笑う。
そのとき、病室の扉が開いた。
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