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ピンポーン
…と、そんな無意味な思考を巡らせていると、家の呼び鈴が音を奏でた。
「はいはい。(何だろう?また爺ちゃんがリンゴでも送ってきたのかな。)」
家の外にごついお兄さんが段ボールを持って立っているということを予想しながら扉を開く。
ガチャン
「速達です、ここにサインお願いね。」
「あ、…はい。」
扉を開くと、ゴツイお兄さんではなく、ひょろいオッサンが立っており、2枚の紙を俺に渡してきた。
1枚は伝票、そしてもう1枚は何やら誕生日カードみたいな青色の厚紙である。
取り敢えず伝票にサインをするが、最近人との関わりがなさ過ぎて、コミ障になりつつある。
「じゃ。」
サインを受け取ると、オッサンは走り去っていった。
…以外にも顔に似合わず爽やかな男であった。
(…で、この紙は何なんだ?)
取り敢えず差出人は書いていないのだが、宛先は俺のようだ。
その厚紙を開いてみると……そこには!
「…………!!!!!!」
『命鳳義塾大学への入学を認めます』の文字が!!
その夢にまでみた15文字、たった15文字だが大きな意味を持つその文字を見て、俺は拳を握りしめると、
「よっしゃあああああああああああああああああああッ!!!」
歓喜の叫び声をあげた!
俺は普段大声を出すタイプではないのだが、この時は流石に叫ばずにはいられなかった。
俺の心の中が、今日の空模様のように、爽やかな青に染まった瞬間だった。
「……おぉ。」
そして、俺の顔が真っ青に染まった瞬間でもあった。
呼吸を忘れて叫び声をあげたため、酸欠になってしまったのだ。
俺は尻餅をつくと、その場に仰向けになって深呼吸を開始した。
……かくして、俺は薬学部への入学を決めたのであった。
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