力の有り様

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蓮が対峙するドラゴンと睨み合い、対応策を苦慮していた矢先、ラーヴェンキルシュの言葉通りにもう1体、最初の1体が姿を現した方角から出現した。 「ギュオアッ!!」 姿を晒したもう1体は、先の奴より僅かに細い。 が、凶悪さは引けを取らない様相をしている。 「……っ、こいつ……っ」 後に来たドラゴンは周囲を素早く観察し、蓮と対峙する方を見やる。 すると蓮を警戒していたドラゴンが、僅かに視線を返したような気がした。 「おい、こいつら……っ!」 「ああ。  意志疎通が出来てるな」 啓介の焦声にラーヴェンキルシュが平素に返したその時、2体のドラゴンが同時に動いた。 「っ!!」 蓮と対峙していたドラゴンはそのまま彼に猛然と迫り、もう1体が恐々と様子を窺っていた民衆へと、迷いなく強襲して行く。 悲鳴を上げ、民衆が逃げようとするも体格差が有りすぎる。 瞬く間に距離は縮まっていく。 「このっ!」 周囲に散乱する木片を支配して、礫の如く2体に飛ばす。 蓮を真っ向から襲おうとしていたドラゴンは、堪らず怯み後退するが、民衆に向かうドラゴンは、木片が身体に多少食い込んでもお構い無しに猛進していった。 「……っ!」 止まらない。 この程度では止められない。 今にも凶悪な爪が、牙が、力無い民衆に突き立てられようとしている。 焦りばかりが先行して、思考が定まらなかった。 「やめろぉォォ!!」 蓮には最早、沸き上がる焦燥感から来る制止の声を、吐き出す事しか出来なかった。
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