始まり

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「こちらが、ご予約されていた物になります。」 図書館のカウンターで、借りていた本を返却し、予約していた本一冊を受け取りました。 いつもの司書さんが、いつもの様に手続きをしてくれます。 ついでに、他の本も見てから帰ろうかな。 私は、子どもの頃から図書館が大好きです。 静かで、穏やかな空間。 次は、どんな話に出会えるんだろうか? そう思うと、この静かな空間がワクワクする空間に変わります。 閉館まで…後1時間弱。 目に付いた本を数冊持って、お気に入りの窓際の席へ。 座ろうとしたら、椅子の下に四角い物が落ちています。 誰かの落し物かな? しゃがんで拾って見ると、お財布でした。 あーぁ。 また拾ってしまいました…。 なぜか、私はお財布を良く拾います。 とりあえず、周囲に持ち主が居ないか聞くか…と思いましたが、閉館まで後30分。 ほとんど人はいません。 仕方なく、カウンターに届けると、先程の司書さんが中身を調べてくれました。 「ああ、お隣の店員さんのだわ。」 中に入っていた免許証から、住所や名前が判明。 良かった良かった。 持ち主が見つからないと、場合によっては、中身が私のモノになってしまう事があります。 過去に、銀行で一万円を拾ったら、急いでいるのに書類を書かされました。 そして、一年後、持ち主が見つからず、その一万円が私の物になりました。 お金は、大切です。 でも、誰のモノとも分からないお金は、正直、気持ちの良いものではありません。
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