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「・・・あの、実は、お詫びしないといけない事が・・・。」
小さい声でボソボソ。
「は?」
二つの目がイライラ?
ごめんなさい…、状況説明苦手なのです。
「面倒なんで、一度こっちに来てもらえます?」
財布の持ち主に、エントランスに回るよう促され・・・。
ああ、どうしてこんなにお粗末な話になるんだろう・・・。
自己嫌悪しながら、エントランスに。
オートロックが解除され、大量の荷物を抱えた男性が立っていました。
この人が先ほどの方でしょうか?
お財布を見せると、ニパっと笑顔になられました。
「え、本当に?もう見つからないって思ってた・・・。ありがとうございます!!」
30歳の男性は、嬉しそうです。
でも、持ち上げたお財布の裏側をクルリと裏返してみせると・・・。
…絶句ですね、はい。
「あの、こんな状態にしてしまってごめんなさい!!ポストに入れようと色々していたら、その・・・。」
「いいです・・・気にしないでください・・・。」
ああ、30歳男性のションボリする姿、不謹慎ながら可愛いです。
なかなか見れませんが、堪能はできません。
「あの、弁償します!!」
「いや、拾ってもらって、弁償っておかしいでしょう?」
「でも、これ、ハンドメイドだと思うし、すごく丁寧に作られているし、大切な物だと思います。それを、こんな無残な姿にして、『はい、そうですかぁ?』は、できません!!」
不器用ながら、自分でも色々手作りする私。
力説です。
力説し過ぎて、メガネがずれそうになりました。
しかも、お腹もなりました。
空腹限界点です。
まさか、聞こえて・・・?
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