914人が本棚に入れています
本棚に追加
「とりあえず、これ、お部屋まで届けるの手伝いましょうか?」
恥ずかしいさを隠すように、エレベーター前でボタンを押しながら言いました。
「そうだね、そうして貰えると助かる。」
エレベーターの中で、今日、一週間の出張から帰宅して、ポストを見るとパンパンだったと説明されました。
持てるだけ持とうと、ポストから引っこ抜いて、取り忘れがないか確認したら、私のメガネが見えたとの事。
「何か、ゴソゴソ音はするけど、あまり気にしてなかったから、メガネが見えてビックリした。」
「驚かせてゴメンなさい…。」
わざと怪しい行動をしたんじゃないんだけどな…。
話をしていたら、エレベーターが5階に止まり、ちょっと歩くと部屋の前に着きました。
鍵、どうやって出すんですか?
両手に抱える荷物。
空いているのは、私の右手。
「ごめん、右のポケットの中から出して。」
えっ?!
マジで?!
ほらっと、後ろを向かれて、スーツのポケットを見せられます。
右のポケット…。
他人様のポケットに手を入れるって、いいのでしょうか?
モタモタしていると、また荷物がずって落ちそうです。
深く考えちゃいかん。
…サラッとね。
「…お邪魔します…。」
おずおずと、ジャケットのポケットに手を伸ばすと…。
「違う違う!下。」
え…。
ズボンでしょうかっ?!
最初のコメントを投稿しよう!