後押し

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会えば、また同じような時間を過ごすのかな? そんな思いから、開いた距離感。 あの優しい笑顔が大好きだった。 あの笑顔で求められると、拒めない…。 でも、気持ちが離れた行為は、虚しいだけ。 その分、趣味や仕事に没頭すると、成果があって、堪らなく楽しかったのです。 それを、晶も気付いていたのかもしれません。 大学卒業後、晶に告白され付き合うようになりました。 私は、実家から少し離れた所に就職したのをキッカケに、1人暮らしを始め、晶は、そのままその焼き鳥屋さんに居続けています。 ずっとしてみたかった1人暮らし。 初めての仕事。 新しい生活のリズムを作る事に必死でした。 でも、晶は、古いリズムにしがみついたまま。 付き合い始めは、お互いに努力したけど、付き合いが長くなると、すれ違う毎日にも慣れて来て。 努力して時間を合わせようとしなくなりました。 そろそろ、自分たちに向き合うべきなのです。 怖いけど…。 もう、連絡が来なくて苦しい1人の時間よりも、連絡が無くても、自分の時間を楽しめるようになってしまった事を彼に指摘される後ろめたさから開放されたくて。 ときめかなくなった相手。 30歳まで後5年。 もう、いい大人なので、後悔して過ごしたくはないのです。
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