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── 神崎綺羅 ──
上下に揺れながら流れてゆく景色。
首もとを通る冷たい風。
胸まであるストレートの髪が後ろへと流れる。
今日は私の通う中学校のマラソン大会だ。
「もう嫌だぁ~」
隣で一緒に走りながら弱音を吐きまくる女の子。
ポニーテールを揺らし、小さな顔に大きな瞳をつけている。
名前は本田琴音(ホンダコトネ)だ。
「5キロとか死ぬぅ~」
嘘つけ。
もうすぐゴールだと思うが、
弱音とは言え、ずっと喋っている。
琴音は帰宅部のはずなのに………。
「そろそろゴールだと思うよ!ほら、頑張れ!!」
そう言って私は、琴音の背中を叩く。
「綺羅は疲れてないよなぁ。運動部ズルい~!!!」
そう。私、神崎綺羅(カンザキキラ)はバレー部に所属している。
だが………。
「もぅ、1ヶ月は行ってないけどね~!!」
「うーわサボりー!!」
私は運動は得意だが、朝練習などの早起きが苦手なのだ。
よって起きた時には部活が終わっている。
「あっ!!!!!!!!」
琴音が突然大きな声を出した。
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