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「お母さんだぁっ!!!!!!!!」
そう言うと琴音は前方に向かって大きく手を振る。
私も琴音の視線の先を見た。
確かに琴音のお母さんがいる。
「琴音!綺羅ちゃん!もうすぐよー!!頑張れぇーーー!!!!!!!!」
琴音のお母さんは手を口元にあてて、メガホン代わりにして叫んでいた。
「お母さん大きい声出さないでよ!恥ずかしいっ!!!」
絶対に照れ隠しだなぁ琴音。
お母さんか……。
私にも、お母さんはいる。
だが、本当のお母さんではない。
私は3才の時に捨てられた。
捨てるくらいなら産まなければ良かったのに……。
そんなに悪い子だったのかな?
まぁ、どれだけ考えたって何も変わらないのは目に見えている。
「頑張れぇぇぇーーーーー!!!!!!!!」
「だから大きい声出さないでってばーーー!!!!!!!」
琴音も両手をメガホン代わりにして叫んでいた。
琴音。あなたも十分大きいよ。
でもね………
こうして琴音が隣にいるだけで気持ちが楽になるんだ。
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