捨て子

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琴音とは幼稚園からの付き合いだ。 “お母さんがいないから優しくしてあげよう” 今もだが、当時、私はその考え方が大っ嫌いだった。 誰と話そうと、いちいち全員が私に優しくした。 私が悪くても、すすんで向こうが謝った。 理由。 “可哀想だから” そんなのは友達じゃないと、幼い私でも時、 「綺羅ちゃん見て~!これ、お母さんが買ってくれたの~!」 そう言って、着ているワンピースを見せつけてくる女の子。 「可愛いでしょ~?ね、いいでしょ~?」 すかさず周りの人が止めに入る。 「やめなよ!綺羅ちゃんはお母さんがいないんだから!」 私は…… そのポニーテールの女の子が言った言葉を、今でもしっかり覚えている。 「やめるのはそっちでしょ?何でも話せるのが友達じゃん。琴音が綺羅ちゃんの立場だったら、それ嫌だもん。」 今思うと、 たった5つの子供が言った言葉とは思えなかった。 「綺羅ちゃん、これ欲しいでしょお~?いいでしょお~?」 「あ………うん。可愛い。」
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