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「ライ君」
聞き覚えのある声が自分の座っている席から斜め前方、窓側に座っているので右手の方向から響く。
「珍しいね、ライ君に問題を答えさせる先生なんて。新しい先生なのかな?」
話しかけて来たのは見知った少女。幼なじみのレイン・ベルムだった。血色の良い肌に、艶やかな栗色の髪を肩までさげていて、顔も整っている。ただ、僕と同じ年齢にもかかわらず、身長は頭一個分違うので、年下と間違えられることもしばしば。なお、胸部は未発達のようだ。
「うん。去年の最初にアレをやった後から算術の授業は楽だったからね。知らないってことは新人だよ」
「アレはすごかったね。先生に同情しちゃったもん」
僕達が言っているアレとは、僕が去年の算術担当教師を算術でボコボコにしたことだ。今年に入ってから見てないし、辞めたのかもしれない。教師の間で嫌われていたのか、僕は特にお咎めなしだった。
「ライにレイン、そろそろ移動しようぜ」
声をかけてきた男子生徒もまた、僕達と交流が深い生徒だ。名はテラ・ジキル。黒い短髪を立たせ、鍛えられた肉体を隠すことなく見せている。すなわち、半袖。
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