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「移動ってどこに行くんですか?」
レインが僕の聞きたいことを代弁してくれたようだ。
「どこって、次の授業は実戦だし、ここから一番遠い第三訓練場だぜ?」
実戦。外界からの侵略に対して、対抗出来る人材を育てるとかもっともな理由をつけているが、本当はこの国の使える土地を増やすためだろう。まあ、緊急時に能力を使えるようにするためという理由もあるのだろうが。
この教室の生徒はあらかた移動してしまったのか、僕達以外に数人の生徒しか残っていなかった。
「行こうかレイン」
「あ、ライ君待って」
「え? 俺は?」
何か訳の分からないことを言っているテラを放置して僕達は第三訓練場に向かった。テラは勝手についてきたが、いつものことである。
「ライ君は今日も使わないの?」
「使わない。使っても意味がない、とも言うけどね」
「なあ、ライの能力はなんなんだ? 俺、一年の時から一緒だけど一回も見たことないぜ?」
そういえば、テラには見せたことがないかもしれない。たぶん、この学校で知っているのはレインと理事長、あとは実戦の授業の担当教師ぐらいか。
「そうだろうね。なんせ、この学校に入ってから一回も使ってないんだから」
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