紫桜とポーちゃん

Ｌ 伝説の絵本

　
―――≫双子の城への帰り道

３月７日、晴天。

煉瓦造りの街道をコツコツと音を立てて歩いていた。

空には 夏を連想させるような綿雲が浮かんでいるのだが、建物や木陰には 雪がちらほらと残っていて……

寒い日だったと思う。

黒いコートを羽織って 頬に触れる寒さに耐えているのだが、

気持ちはポカポカ、心はウキウキしていた。

――それは何故か。

面白いものを見つけたんだ。

ドンさんの館にある図書館……

いや、正確にはクリスティさんの仕事場なんだけど。

そこで見つけた一冊のアンティーク調の絵本。

気になったから借りてきたんだ。

タイトルは――。