L 伝説の絵本

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  タイトルは『崖の上のポーちゃん』。 クリスティさんに仕事を手伝って欲しいと呼び出されたんですけど、仕事をそっちのけで魅入ってしまったんです。 この絵本、五回も一気読みしちゃいました♪ 彼女、仕事が終わっても熱中している私に 半ば呆れていたでしょうか? あっ、別にタイトルが気になったわけじゃないんだよ。 ロッククライミングが趣味とか、そんな体育会系の体と頭を持っているわけでもないし、『ポーちゃん』という可愛らしいネーミングに惹かれたわけでもない。 ちなみに『ポーちゃん』というのは、ある木を守っている聖獣と言われる鳥の名前で―― 正確には『ポッポ』という名前らしい。 ――ポッポちゃんは、凄いんだ。 『何でも願いを叶えてくれる』と言う噂が出回った『ある木』。 それにあやかって 狙ってくる悪党どもをばったばったと打ちのめす、とてもすごい奴なんだ。 そんなポッポちゃんに惹かれたわけでもないんだけど。 この中に出てくる『ある木』―― 正式名称『紫桜』。 それが気になったんだ。 ちなみに、この桜の木の下で告白したカップルは、永遠に祝福されるという伝説もあると言われるようです。 そんな所で、一度は 告白してみたいもんですね。 そして甘い愛に包まれて、とろけてしまうような時間を感じたい。 恋に恋い焦がれるのは、乙女の宿命なのです。 うつむき歩きながら進む僕。 「誰か良い人いませんか?」 気付いたら そう呟いていた。 「わしなんか、いかがかの?」 ――ドキリ!! まさか返事があるとは思いませんでした。 後ろを振り向くと、満面の笑顔で笑いかけてくれるおじいさんがいました。 曲がった背中で、手に持った杖。 急な返答に、高まる鼓動。 沸騰するように赤くなる顔。 極度の恥ずかしがり屋で内気な僕。 かなりテンパっていたと思う。 ごめんなさいおじい様。 僕は、同い年くらいの殿方が趣味なのだ。 「生まれ変わったら、素敵な出会いをしましょう」と笑ってごまかすしかできなかったです。  
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