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で、紫色から薄紅色に変ってゆく桜を表現した 見開きのページがあるんですけど――
注目したいのは、このページなんだ。
僕は 額に手をあてて、本を睨むように見つめる。
ここだけ妙に雰囲気が違っていて、『紫桜』の断面図のようなものが描かれていた。
桜の根っこ部分には、宝石ともとられるような石があるのだけど――
これは……なんだろうか?
僕の中にある直感が 何かを告げようとしているのだが、いくら考えても答えは出なかった。
桜の根は、宝石から力を吸い上げるようにして、紫色を薄紅色に変えているように見える。
宝石――ねぇ。
ワインを一口飲んだ後に、再びチョコレートを咥える。
僕は この星に伝わる伝説と、絵本に描かれていた宝石を照らし合わせていた。
宝石の神リトスが作ったと言われている
この星『リトス』。
巨大生物が存在した古の時代。
神は、
弱くて
余りにも無力だったヒトに対して
神の戦いの記憶である【王珠】を与えたと言われている。
【王珠】を与えられた人間は、
国を納める力を得て、
やがて王となった。
神の心臓の欠片から作られた【王珠】もまた、無色透明で虹色の光を放つ宝石のようなものなのだ。
――これもそんな類のものなのだろうか?
それとも、もっと別なもの!?
その宝石を守っている『ポーちゃん』と言う、聖獣と呼ばれる獣。
『紫桜』の願掛けを守る獣ではなく、宝石を守る守護神的なものなのでは?
そんな、頼りない僕の推理だったけど――
心の中にあった冒険心をくすぐられて、妙にワクワクして行く自分に気が付いたんだ。
僕の名前は、アルテ.クロスハーツ。
【弓】の王珠を司る、グリーク国第7の王だ。
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