第4話 コンビニは何でも揃ってる

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 ◇◆◇◆  僕達はマンションの玄関を出てから2、3分のところにあるコンビニへとやってきた。『ウェルマート』と書かれた自動ドアを椿と並んで通り店内に入る。『いらっしゃいませ』と挨拶する店員の前を通り、お弁当やおにぎりが並ぶコーナーの前に立った。 「椿はどれにする?」 「んー……これでいいかな」  椿は『和風キノコパスタ』と書かれた商品を手に取った。商品名の横には赤いラベルで『NEW!』と書かれていて新商品だということを知らせていた。 「これって前見たことあるのに、どうして新商品なんだろうね?」  僕は赤いラベルを指差した。 「一度出して、販売中止して、また出したから……とか?」 「それって、なんかだまされた気分にならない?」 「たしかにそうかも」  椿はそう言いながら少し笑い、僕が持ってきた籠に商品を入れた。 「お姉ちゃんはどれにするの?」 「うーん……これでいいや。そんなにお腹空いてないし」  僕は高菜の入ったおにぎりを一つ取って籠の中に入れた。 「え、それだけでいいの?」 「うん」 「でも……あ、そうか」  椿は何かを言いかけたけど、すぐに理解したようで言葉を飲み込んだ。少しだけ悲しそうにする椿の頭を撫でて、飲み物のコーナーへ移動する。
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