ロブロの馬鹿

5/15
98人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
  「お花畑かよ」 ローズマリーの翼の下に入り、アズは走る事を止めた。 長い銀色の下を歩き、サフスの主力機の脇腹を見た。 直径1m位の穴がポッかりと空いていて、プスプスと細い煙が出ている。 「こんな穴で翔べないのか?」 アズは首を傾げた。 その後ジャンプして突起物をつかみ、両手の筋肉を思い切り使って翼の上に立った。 松の葉に頬を叩かれ顔をしかめると、枝の隙間から淡く光る半月が見えた。 「サフスにしろキランにしろ、間違った事を続けていると、あの月だって離れて行っちゃうんだぜ」 ローズマリーの涙の形に似た胴体。 新物質の斥力で飛ぶブレーンシップには窓が無い。 そして、この巨大な翼を宙に浮かすのには、パイロットの他にもう1人、異能体と呼ばれる新物資の力をコントロールする役割の者が要る。 アズの脳裏にも、シオンが飛ばしている黄色い花のイメージ。 ふ──っ アズは深く息を吸い込んで、腰のベルトからナイフに似た形の灰色を抜き取った。 「F体が強かったら逃げよう」 F体が強かったら翼から飛び降りて、そんでもってシオンの手を引いて走り、小川の脇に止めたバイクに乗る。 もしもの場合の逃げ方をイメージした。  
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!